KURAMOCHI KAZUISHI

KURAMOCHI KAZUISHI
ART DIRECTOR/
GRAPHIC DESIGNER

蔵持 一石/経済学部卒の異色のデザイナー。商業的な面と、アート的な要素を併せ持つ広告デザインの魅力に惹かれデザイナーの道へ。見た目だけにとらわれない、問題を解決するグラフィックデザインを得意とし、紙や、Webデザインなど、多岐にわたる媒体の制作実務とアートディレクションを行う。

WORKS

INTRODUCTION

文:吉田航平

「こんな取材しなくていいよ。実績を見てもらえれば十分」
そう言うだろうと思っていた。この男、饒舌なデザインとは裏腹に自分のことになると途端に喋りたがらない。寡黙な性格というわけではなく、照れているわけでもない。自信があるのだ。いや、少しちがう。常に不安だからこそ、人格も過程もみえないフラットな世界で戦っていたいと願っているのだ。なるほど。男前じゃないか。

とはいえ、このままでは執筆を任せられた私の立つ瀬がない。悔しい。悔しいので、いっそ盛大に褒めちぎってやることにした。皆さんは彼の言うとおり、すぐに3回ほどスクロールをして実績を見に行ってほしい。ここからは私から蔵持への嫌がらせだ。

圧倒される大胆なデザインが蔵持の持ち味だが、そこに至る緻密さこそが彼の真骨頂だと私は思う。くり返し資料を読み込み、会話からニュアンスを掴み、可能性を試行する。誰もが当然している作業を、彼は文字通り桁ちがいに行う。その執念深さにこちらが先に音をあげそうになる。しかし多くの時間を費やし、言葉にできない行間まで汲みとった彼から洗練されたデザインが生まれるのは必然なのかもしれない。それでいて腰が低く、ホスピタリティに溢れ、驚くほど仕事がはやい。すべては意味のある成果物のためだと彼は笑う。誰よりもプロフェッショナルなのだ。

商材への愛着。彼との仕事にこれだけは欠かせない。むしろ愛着だけ持っていればいい。大抵の事情や条件は、彼がどうにかしてくれる。整頓された理屈すらもいらない。あなたが日々向き合っている商材にかける熱意をぶつけてみて欲しい。そして解決したい悩みがあるならば飾らずにそのまま伝えて欲しい。きっとより深いデザインの世界から応えてくれるだろう。

さて、蔵持の苦々しい顔も思い浮かんだところで私の偉大な先輩の話はここまでにしよう。彼の意向に沿わずここまでを読んでくれたあなたに感謝とお願いがある。どうか彼には実績だけ見たことにしてほしい。ものすごく嫌な顔をして、喜ぶだろうから。

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# 蔵持一石の仕事

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